住宅ローンを組むときに必要となる火災保険ですが、ハウスメーカーや金融機関が紹介してくれた火災保険に加入すべきかどうかで迷っている人が多いようです。ローンの審査を考えると紹介された火災保険のほうが有利に思えて、そのまま契約する人も少なくありません。
でも紹介された火災保険料の多くが割高で、できれば自分で探したいというのが本音のはず。そこでここでは、新居の火災保険は自分で加入してもいいのかどうか、加入できるならどのようなポイントに注意すればいいのかなど、わかりやすく解説していきます。
目次・一覧
火災保険は自分で選んでもOK
まず結論からお伝えすると、新居の火災保険は自分で選んでもまったく問題ありません。紹介された火災保険に加入しなかったからといって、それを理由に住宅ローン審査に落ちることはありませんし、ハウスメーカーに手抜き工事をされるようなことはありません。
ハウスメーカーや金融機関は紹介することで、紹介手数料などが入るのでおすすめしてきますが、それが本業ではありません。あくまでも自分で火災保険を選べない人のために、サービスとして用意しているだけだと考えてください。
ただし、提携している火災保険にメリットがないわけではありませんし、自分で選ぶ火災保険にもデメリットがあります。どちらを選ぶかを決める前に、まずはそれぞれのメリットデメリットを把握しましょう。
紹介された火災保険のメリットとデメリット
ハウスメーカーや金融機関が紹介する火災保険は、あまりおすすめできないとしている情報発信サイトなどもありますが、もちろんきちんとメリットもあります。どのようなメリットがあるのか、そしてどのようなデメリットがあるのか詳しく見ていきましょう。
紹介された火災保険のメリット
・信頼性に優れた火災保険を紹介してもらえる
・特典を受けられることがある
・申込手続きが簡単
ハウスメーカーなどが紹介する火災保険は、しっかりとした実績があり、信頼できる保険会社の商品のみに限られています。このため、いざというときに頼りになるといったメリットがあります。しかも提携特典や割引を受けられるのもおすすめポイントです。
また、ハウスメーカーや金融機関の担当者が窓口になってくれて、さまざまな手続きを内部で処理してくれるため、煩雑な手続きをしなくても済みます。さらに災害が発生したときには、ハウスメーカーや金融機関の担当者に連絡するだけでいいので、保険金をスムーズに受け取れます。
紹介された火災保険のデメリット
・火災保険の選択肢が少ない
・必ずしも公平性が保たれるとは限らない
・必要な補償内容になっているかの判断が難しくなる
ハウスメーカーなどに紹介される場合、選択できる保険会社は1〜2社しかなく、保険商品の種類も限られているケースがほとんどです。このため、これまで使ってきた保険会社の商品などを選べなくなる可能性があります。
また、ハウスメーカーに紹介料が入る場合には、最適な火災保険ではなく、ハウスメーカーにとってより利益になる火災保険を勧められる可能性があります。さらに、ハウスメーカーなどの担当者は保険の専門家ではないので、補償内容を選ぶときなどにあまり頼りにならないといったデメリットもあります。
火災保険を自分で選ぶメリットとデメリット
ハウスメーカーや金融機関に紹介された火災保険を断って、自分で選んだ火災保険に加入するメリットとデメリットについても見ていきましょう。
火災保険を自分で選ぶメリット
・いくつもの火災保険を比較できる
・自分のニーズに合わせて最適化できる
・火災保険の契約内容をきちんと理解できる
自分で火災保険を選ぶ最大のメリットは、いくつもの火災保険を比較して選べることにあります。火災保険は保険会社ごとに個性があり、自分で選ぶ場合にはそれらの個性を考えて火災保険を選べますし、さらに自分のニーズに合わせて最適化することも可能です。
最適化できればムダな補償内容を省けるので、保険料を抑えられるといったメリットもあります。また、いくつもの火災保険を比較することになるので、火災保険について詳しくなり、契約内容について深く理解できるようにもなります。
火災保険を自分で選ぶデメリット
・知識がないと間違った契約内容になる
・選択肢が多すぎて迷ってしまう
・ローン申請の手続きが複雑になる
自分で選ぶには、火災保険に対する最低限の知識が求められます。知識がないと、必要な補償内容を外してしまったり、反対に必要のない補償内容を加えてしまったりするなど、本当に必要な補償内容で契約できないなどのリスクがあります。しかも選択肢が多くて、どれを選べばいいのか判断できないといった問題もあります。
さらに住宅ローンの申請と火災保険の申請をパラレルに行うことになるため、それぞれと調整しながら契約手続きを進める必要性があるなど、ローン申請の手続きが複雑になるといったデメリットもあります。
自分で火災保険に加入するときの流れ
自分で火災保険を選ぶとなった場合には、下記の手順で加入手続きを進めましょう。
STEP1.建物と家財の評価額を算出して保険金額を決める
STEP2.補償内容を決める
STEP3.保険会社に申し込みする
STEP4.保険会社と契約する
それぞれの手順について、もう少し詳しく解説していきます。
STEP1.建物と家財の評価額を算出して保険金額を決める
火災保険を選ぶために、まずは保険金額を算出しなくてはいけません。保険金額の算出は建物と家財を分けて行います。新築の場合には建物購入金額を保険金額とし、中古の場合には価格.comなどの算出サービスを利用して算出してください。
家財の保険金額は、災害が発生したときに補償対象となる家財をリストアップして、それぞれの評価額を合計することで算出できますが、家財が多い場合には評価額を算出するのが難しいですよね。そのようなときには、下表を参考にして保険金額を決めてください。
家族構成 | 2名
大人のみ |
3名
大人2/子1 |
4名
大人2/子2 |
5名
大人2/子3 |
独身
世帯 |
|
---|---|---|---|---|---|---|
世帯主の年齢 | 25歳前後 | 490万円 | 580万円 | 670万円 | 760万円 | 300万円 |
30歳前後 | 700万円 | 790万円 | 880万円 | 970万円 | ||
35歳前後 | 920万円 | 1,000万円 | 1,090万円 | 1,180万円 | ||
40歳前後 | 1,130万円 | 1,220万円 | 1,310万円 | 1,390万円 | ||
45歳前後 | 1,340万円 | 1,430万円 | 1,520万円 | 1,610万円 | ||
50歳前後(含以上) | 1,550万円 | 1,640万円 | 1,730万円 | 1,820万円 |
STEP2.補償内容を決める
次は何に対して備えるかを決めましょう。火災保険だから火災に備えればいいと考えている人もいるかもしれませんが、火災保険は火災以外にもさまざまな災害を補償できます。ただし、その災害が契約した保険の補償内容に含まれている必要があります。
一般的な火災保険の補償内容は次のようになります。
・火災、落雷、破裂・爆発
・風災、雹災、雪災
・水災
・水漏れ
・建物外部からの物体の落下・飛来・衝突
・盗難
・破損・汚損
・騒擾・集団行為等にともなう暴力行為
これらに加えて地震や津波も備えるべきリスクのひとつです。これらのリスクの中から自分が備えるべきものを選び、火災保険の補償内容を決めてください。
STEP3.保険会社に申し込みする
補償額と補償内容を決めたら、保険会社に申し込みをしてください。申し込みの流れは次のようになります。
1.資料請求する
2.見積依頼する
3.火災保険商品の説明を受ける
4.契約する保険会社を決めて申し込みする
火災保険商品の内容をきちんと把握する必要があるので、いきなり申し込みをするのではなく、まずは資料請求を行ってください。すでに火災保険内容を把握しているというのであれば、資料請求と見積依頼を同時に行っても構いません。
見積書が送られてきたら、きちんと火災保険商品の説明も受けてください。書類にすべて記載されていますが、記載内容が多く重要事項を見落とす可能性があります。必ず説明も受けて、契約内容を把握した上で申し込むようにしてください。
STEP4.保険会社と契約する
契約する保険会社が決まったら、あとは契約書類を提出して保険料を払うだけです。手続きが完了したら、保険会社から保険証券などの書類が送られてきます。契約が完了したら、すみやかにハウスメーカーと金融機関の担当者に連絡してください。
自分で火災保険に加入するときのポイント
ここまでの説明で、自分で火災保険に加入するメリットや流れを把握できたかと思います。少し大変そうだけど、最適な契約内容にするためにも、自分で加入しようかなと思い始めた人もいるかと思います。
そこでここでは、自分で火災保険に加入するときのポイントを3つご紹介していきます。
時間をかけて補償内容を決める
自分で火災保険に加入する最大のメリットは、ムダのない最適な補償内容にできるという点にあります。ところが、火災保険にはじめて加入する人の場合、どの補償内容が必要なのか判断できずに、必要のない補償まで付けてしまいがちです。
そうならないためにも、火災保険の基本的な考え方や、補償内容について時間をかけて勉強してください。そのうえで新居周辺のハザードマップをチェックするなど、災害発生リスクがどれくらいあるのかについてもチェックし、補償内容を確定してください。
また、地震保険への加入も合わせて検討しましょう。最近は日本全国で地震が多発しており、どの地域でも大地震のリスクがあります。自分だけが大丈夫という根拠のない判断ではなく、地震が発生し、被災する前提で地震保険に加入するかどうかを決めましょう。
契約までに時間がかかることを想定しておく
申し込みをしてから契約するまで、一般的に2週間程度の時間がかかります。この2週間を考慮して申し込みをしないと、引渡予定日までに火災保険の契約が間に合わなくなる可能性もあります。そうなると引っ越しを先延ばしにするなど、かなり面倒なことになってしまいます。
引っ越し業者には作業の延期を連絡しなくてはいけなくなりますし、場合によっては数日ホテル暮らしになってしまうかもしれません。そうならないためにも、できるだけ早い段階で火災保険の検討を始めるようにしてください。
複数の保険会社に見積依頼する
保険会社を決めるときには、いきなり1社に絞るのではなく、できるだけ複数の保険会社に見積依頼しましょう。火災保険は商品ごとに補償金額や加入できる特約など違いがあり、保険料もそれぞれ異なるため、最適な火災保険に加入するには比較検討が必要になります。
自分の保険金額に適した火災保険商品に絞り込み、それぞれに資料請求や見積依頼をするようにしてください。火災保険商品が多すぎて、自分では絞り込めないという人は、リンク先サイトでおすすめ火災保険商品をご紹介しているますので、ぜひそちらもご確認ください。
https://hikkoshi-365days.com/kasaihoken-osusume/
※これより先は「【2023年5月】保険のプロが教える火災保険9選!おすすめ保険会社を徹底比較して検証」のページに遷移します。遷移先サイトに関するお問い合わせは、遷移先サイト内の問合せフォームにてご依頼ください。
まとめ
ハウスメーカーや金融機関が紹介してくれた火災保険は手続きが簡単になるというメリットもありますが、選択肢が少なくハウスメーカーなどの都合で、最適ではない火災保険を勧められる可能性があります。それらのデメリットを回避したいのであれば、火災保険は自分で選びましょう。
自分で火災保険を選ぶと、補償内容を最適化して、保険料を大幅に減らせるなどのメリットもあります。カットした保険料を引っ越し資金に充てることもできますし、新居での暮らしをより良いものにするための資金とすることもできるので、予算に余裕がないという人は自分で火災保険を選びましょう。
ただし、いきなり1社に絞るのではなく、できるだけ複数の火災保険を比較した上で、自分に最適な火災保険を選ぶようにしてください。また、申し込みから契約まで時間がかかるので、できるだけ早めに検討を開始しましょう。
執筆者
DOOR賃貸編集部
DOOR賃貸運営事務局