
引っ越しの準備も一段落し、新居での生活に胸を膨らませる一方で、住所変更という少し面倒な手続きが待ちかまえています。住所変更を行わなければならないものはたくさんあります。その中の何から始めたらいいのか、期限が決められたものがあるのか、必要な書類があるのか、住所変更手続きになじみがないぶん、わからないことがたくさんありますよね。
うっかり忘れがちな住所変更ですが、放置すると様々な困り事が増えてしまいます。
この記事では、次のことがわかります。
- 引っ越し前後に必要な住所変更手続きが全てわかる
- 手続きの期限や場所、必要なものがすぐにわかる
- 効率的に手続きを進めるためのコツがわかる
住所変更を完了させ、待ちに待った新生活を気持ちよくスタートさせましょう!
引っ越し前に必ず済ませる住所変更手続き:転出届
引っ越し前に済ませる住所変更手続きとして、最も重要なのは転出届です。これは、現在住んでいる市区町村から別の市区町村へ引っ越す際に必要な手続きで、引っ越し完了後、新居がある市区町村で転入手続きを行うために必ず必要になります。
転出届の提出期限と場所
転出届は、引っ越し日の約2週間前から、引っ越し当日までに提出する必要があります。早めに準備しておくと、引っ越し後のバタバタを避けることができます。
提出場所は、現在住んでいる市区町村役所・役場の窓口です。郵送もできます。またマイナンバーカードをお持ちの方は、オンラインでの手続き(マイナポータル)が可能です。忙しい方には便利な選択肢ですね。
【提出場所一覧】
- 市区町村役所・役場の窓口
- 郵送
- マイナポータル(オンライン)※マイナンバーカード保持者
転出届に必要な書類
転出届の提出には、以下の書類が必要です。事前に準備しておくと、スムーズに手続きを進められます。
【必要な書類】
- 転出届(窓口で入手、または各市区町村のウェブサイトからダウンロード)
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど)
- 印鑑(認印可、シャチハタ不可)
- マイナンバーカード(お持ちの場合)
- 国民健康保険証(加入者のみ)
- 国民年金手帳または基礎年金番号通知書(加入者のみ)
認印・シャチハタの違い: 認印は役所で印鑑登録されていない印鑑です。法的効力はありませんが、公的書類で使うこともできます。一方シャチハタは、インクが内蔵されたスタンプタイプの印鑑です。印面がゴム製であり大量に存在する既製品であることから真正性が保てないとされ、公的書類では原則として使えません。
転出届の注意点
- 転出証明書を受け取る:転出届を提出すると、転出証明書が発行されます。これは、引っ越し先の市区町村で転入届を提出する際に必ず必要となる大切な書類ですので、紛失しないように大切に保管してください。
- マイナンバーカードの継続利用手続き:マイナンバーカードをお持ちの方は、転出届の際に継続利用手続きを行うことで、引っ越し先でも引き続き利用できます。忘れずに手続きを行いましょう。
- 特例転出の扱いマイナンバーカードを利用して転出届を行った場合は特例転出の扱いとなるため、転出証明書は発行されません。マイナンバーカードの暗証番号が代わりとなります。
その他の住所変更手続き
上記以外にも、以下のような住所変更手続きが必要になる場合があります。
- 電気・ガス・水道の停止手続き:、現在契約している電力会社のWebサイトまたは電話で行うことができます。停止日と住所変更の申請を行いましょう。なおガスのみ開栓作業に立ち会う必要があるため、立ち会い日を決める必要があります。
- インターネット回線の移転・停止手続き:現在契約している回線の継続か新しい回線の契約のどちらかの方法でインターネット回線を新居へ移転させます。新しい回線に契約する場合、開通工事の予約が込み合っている場合があるので早めに依頼しましょう。
- 郵便物転送サービスの申し込み:郵便や宅配便など、引越し後に現住所に届く可能性のあるものを転居先の住所に届けてもらうサービスです。郵便物であれば最長1年間無料で使えますが、宅配便は有料となる場合があります。
引っ越し後に必須の住所変更手続き:
引っ越し後には、転入届または転居届を最優先に住所変更手続きを行いましょう。転入届は転出届を行った方が引っ越し先となる新居の市区町村で行う手続きです。対して転居届は、同じ市区町村内で引っ越した際に行う住所変更手続きです。どちらも新生活をスタートするうえで必須の手続きなので、早めに行うようにしましょう。
また国民健康保険・国民年金に加入している方は、手続き期限が設けられているので優先的に住所変更手続きを行いましょう。
転入届・転居届の提出期限と場所
提出期限はいずれも引っ越した日から14日以内です。期限を過ぎてしまうと、罰則を受ける可能性もあるので、早めに手続きを行いましょう。
提出場所は、引っ越し先の市区町村役所・役場の窓口です。
【提出場所一覧】
- 市区町村役所・役場の窓口
- e転居(転居届の場合のみ利用できるオンライン窓口)
転入届・転居届に必要な書類
転入届・転居届の提出には、以下の書類が必要です。
【必要な書類】
- 転入届または転居届(窓口で入手、または各市区町村のウェブサイトからダウンロード)
- 転出証明書(転入届の場合のみ。転出届を提出した際に発行されたもの)
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど)
- 印鑑(認印可、シャチハタ不可)
- マイナンバーカード(お持ちの場合)
- 国民健康保険証(加入者のみ)
- 国民年金手帳または基礎年金番号通知書(加入者のみ)
転入届・転居届の注意点
- 過料が生じる場合転入届・転居届は、必ず引越し後2週間以内に行う必要があります。期限を過ぎると、住民基本台帳法に基づき、最大5万円の過料に処される場合がありますので注意しましょう。
- 特例転入の扱いマイナンバーカードを利用して転出届を行った場合は特例転入の扱いとなるため、転出証明書は不要です。マイナンバーカードの暗証番号が代わりとなります。
- e転居が行えない場合e転居は郵便局のサービスでオンラインで郵便物転送の手続きができます。一部自治体でのみ取り扱えるため提出先の自治体の取り扱い状況を確認しましょう。
国民健康保険・国民年金の住所変更
国民健康保険や国民年金に加入している場合は、住所変更の手続きが必要です。転入届・転居届の手続きと同時に行うことができます。
【手続き期限】
どちらも引っ越した日から14日以内です。
【手続き場所】
- 市区町村役所・役場の窓口
- 郵送
【必要な書類】
- 国民健康保険証(加入者のみ)
- 国民年金手帳または基礎年金番号通知書(加入者のみ)
- 印鑑(認印可、シャチハタ不可)
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど)
- 預金通帳またはキャッシュカード(国民年金、納付方法を口座振替にする場合)
- 転出証明書(異なる市区町村から引っ越してきた場合のみ。転出届を提出した際に発行されたもの)
【注意点】
- 引っ越し先が異なる市区町村である場合か、同じ市区町村内であるかに関わらず、*引っ越した日から14日以内に手続きを行う必要があります。過料は発生しませんが、早めの手続きを心がけましょう。
- マイナンバーと国民年金の基礎年金番号が紐付けられている方の場合、住所変更手続きは不要です。
その他の住所変更手続き
上記以外にも、以下のような住所変更手続きが必要になる場合があります。
- 運転免許証:警察署、運転免許センターなどで手続きを行います。運転する方は忘れずに手続きを行いましょう。
- 自動車検査証(車検証)、自動車保管場所証明書(車庫証明):運輸支局または自動車検査登録事務所で手続きを行います。
- 銀行口座、クレジットカード:各金融機関で手続きを行います。利用明細や重要書類が旧住所に届いてしまう可能性があります。
- 生命保険、損害保険:各保険会社で手続きを行います。万が一の時に備えて、早めに手続きを行いましょう。
- 携帯電話、インターネット回線:各事業者で手続きを行います。
- 郵便物転送サービス:郵便局で手続きを行うことで、旧住所宛の郵便物を新住所に転送してもらえます(有料)。
忘れがちな住所変更とスムーズな手続きのコツ
住所変更手続きは多岐にわたり、うっかり忘れてしまうものもあるかもしれません。ここでは、忘れがちな住所変更手続きと、スムーズに手続きを進めるためのコツをご紹介します。
忘れがちな住所変更手続き
- 電気・ガス・水道:ライフラインの手続きは忘れがちですが、早めに手続きを行いましょう。
- クレジットカード、銀行口座:利用明細や重要書類が旧住所に届いてしまう可能性があります。
- 運転免許証、自動車保険:運転する方は必ず手続きを行いましょう。
- インターネット回線:引っ越し先でのインターネット環境を整えるために、早めに手続きを行いましょう。
- NHK:受信契約住所の変更手続きが必要です。
- 各種会員登録:通販サイトやポイントカードなどの登録住所も変更しましょう。
- 学校・幼稚園・保育園:お子様がいる場合は、学校等の手続きも忘れずに行いましょう。
スムーズな手続きのコツ
- やることリストを作る:住所変更手続きの一覧リストを作成し、進捗状況を管理しましょう。
- 期限を確認する:各手続きの期限を把握し、余裕をもって手続きを行いましょう。期限が設定されていないものについては、優先度は下がりますが、最終的にいつまでに手続きを終えるか自分で期限を設定しましょう。
- まとめて手続きを行う:役所での手続きは、転出届、転入届、国民健康保険、国民年金など、まとめて行うことができます。
- オンライン手続きを活用する:マイナンバーカードを持っている場合は、オンラインで手続きできる場合があります。役所へ向かう手間が省けるので、積極的に活用しましょう。
- 早めに手続きを始める:引っ越し直前はバタバタしがちなので、できるだけ早めに手続きを始めましょう。
- チェックリストを活用する:この記事で紹介したチェックリストや、各市区町村のウェブサイトで提供されているチェックリストを活用しましょう。
【スムーズな手続きのためのチェックリスト例】
□ 引っ越し前
- [ ] 転出届の提出(約2週間前から当日まで)
- [ ] 電気・ガス・水道の停止手続き
- [ ] インターネット回線の移転手続き
- [ ] 郵便物転送サービスの申し込み
□ 引っ越し後14日以内
- [ ] 転入届または転居届の提出
- [ ] 国民健康保険・国民年金の住所変更
- [ ] 運転免許証の住所変更
- [ ] 自動車検査証(車検証)の住所変更
- [ ] 銀行口座、クレジットカードの住所変更
- [ ] 生命保険、損害保険の住所変更
- [ ] 携帯電話、インターネット回線の住所変更
- [ ] NHKの住所変更
- [ ] 各種会員登録の住所変更
- [ ] 学校・幼稚園・保育園の住所変更
□ その他
- [ ] 自動車保管場所証明書(車庫証明)の取得(必要な場合)
困ったときの相談窓口
住所変更手続きで困った場合は、以下の窓口に相談してみましょう。
- 市区町村役所・役場の窓口:住所変更手続き全般に関する相談
- 各手続きの窓口:各手続きの詳細や必要書類に関する相談
- 消費者ホットライン:電話番号 188(消費生活全般に関する相談)
まとめ
この記事では、引っ越しに伴う住所変更手続きについて、手続きの種類、期限、場所、必要な書類、注意点、スムーズに進めるコツなどを網羅的に解説しました。
住所変更手続きは、引っ越し後の新生活をスムーズにスタートさせるために非常に重要です。この記事を参考に、計画的に手続きを進めて、安心して新生活を迎えましょう。
執筆者

DOOR賃貸編集部
DOOR賃貸運営事務局