アイキャッチ画像

目次・一覧

    引っ越しには何かとお金がかかりますが、中でも特に負担になるのが「初期費用」です。それだけに、事前に正確な費用相場を知り、必要に応じて節約方法も試していきたいところでしょう。

    この記事では以下について解説します。

    • 一人暮らし・家族別の引っ越しにかかる初期費用相場
    • 地域別の平均相場
    • 引っ越しにかかる初期費用の計算方法
    • 初期費用をおさえる節約術

    引っ越しにかかる初期費用の相場を把握し、計画的に引っ越しの準備を進めていきましょう。

    【内訳公開】引っ越し初期費用の内訳を徹底解説!費用の詳細と計算方法

    引っ越しの初期費用の相場を知るには、まずその内訳を把握しておく必要があります。初期費用は次の4つに分類されます。1つ目は賃貸契約に関する費用、2つ目は引っ越しに関する費用、3つ目は家具・家電製品購入費用、4つ目はその他の費用です。
    ここで紹介する費用項目は、すべてが必須ではないので、自身が該当する項目を選んで費用を計算してみましょう。

    賃貸契約に関する初期費用

    • 敷金: 家賃の1~2ヶ月分が目安です。基本的に退去時に返金されますが、原状回復費用が必要な場合は差し引かれた分のみ返金されます。最近では敷金なしの物件も増えています。
    • 礼金: 家賃の1~2ヶ月分が目安です。物件の契約成立時に大家さんへの謝礼として支払うお金で、返金されません。最近では礼金なしの物件も増えています。
    • 仲介手数料: 物件の仲介を行う不動産企業に対して支払う手数料です。法律によって家賃1ヶ月分+消費税が上限と定められていますが、原則は0.5カ月分でありそれ以上を請求する際は承諾が必要となっています。
    • 前家賃: 入居する月の家賃を事前に支払うものです。入居日が月の途中になる場合は、入居日が属する月の日割り計算された家賃と、入居した翌月分の家賃を合わせて支払うケースが多いです。例えば4月20日に入居した場合は、4月20日から4月30日の日割り家賃と、5月分の家賃を前家賃として支払います。

    計算方法:

    • 敷金: 入居予定の新居で指定された額です。
    • 礼金: 入居予定の新居で指定された額です。
    • 仲介手数料: 入居予定の新居を仲介した不動産から指定された額です。なお家賃1ヶ月分+消費税の上限を超えている場合は不動産会社へ問い合わせましょう。
    • 前家賃: 入居日から入居日が属する月の最終日の日割り家賃と、入居した翌月分の家賃で計算します。月初に入居した場合は翌月分の家賃が不要となる可能性もあります。
       * 計算例:家賃8万円の物件に月の20日に入居する場合 →日割り家賃: 8万円 ÷ 30日 × (30日 - 20日 + 1日) = 約4.2万円 翌月分の家賃:8万円 前家賃:4.2万円+8万円=12.2万円

    注意点:

    • 敷金が不要な物件もありますが、その場合は退去時のクリーニング費用などが別途必要になるケースもあります。
    • 仲介手数料が不要の不動産会社もあります。
    • 前家賃の発生基準が、入居日の場合と契約日の場合があります。新居の大家さんや管理会社に確認しておきましょう。

    引っ越しに関する初期費用

    • 引っ越し業者のを利用する場合の利用料: 荷物の量や移動距離、時期によって大きく変動します。繁忙期にあたる3〜4月、9〜10月は料金が高くなる傾向にありますが、閑散期にあたる2月、6月〜7月、11月を狙うと比較的料金を抑えられます。
      • 自分で引っ越しする場合の費用: 自家用車で引っ越しをする場合は、ガソリン代、高速道路料金などが、レンタカーを利用する場合は加えてレンタカー代などがかかります。

    計算方法:

    • 引っ越し業者のを利用する場合の利用料: 荷物の量や移動距離、時期によって大きく変動します。この表は同じ時期の引っ越し費用を距離別・世帯別にまとめたものなので、引っ越しを行う月も考慮して計算しましょう。なお引っ越し業者には無料で見積もりを依頼できるので、見積り額をもとに引っ越し費用を計算するとより確実です。
      世帯構成同自町村内同都道府県内同一地方内近隣地方内遠距離地方
      一人暮らし(荷物少)4.5万円5.1万円6.6万円8.2万円9.9万円
      一人暮らし(荷物多)6,2万円6.8万円9.0万円11.4万円13.7万円
      夫婦8.2万円9.4万円12.8万円16.5万円22.8万円
      3人家族10.5万円11.8万円14.4万円20.8万円28.6万円
      4人家族12.6万円15.1万円19.1万円25.7万円32.8万円
      5人家族以上15.3万円19.3万円25.3万円32.7万円40.1万円

      ※費用相場はあくまで目安です。
      ※SUUMO引越し見積もり『引越し費用・料金の相場』より参照(2025年3月調べ時点)

    • 自分で引っ越しする場合の費用: 自家用車を使う場合は、数千円~1万円、レンタカーを使う場合は5千円~2万円ほどです。なおレンタカーは車種によって利用料金が異なります。

    注意点:

    • 引越し業者のプランの中には一人暮らし向けの割安プランである「単身パック」があります。荷物量の上限がある代わりに費用を大きく抑えられるので利用を検討してみましょう。
    • 遠距離の引っ越し・家族での引っ越しは、自力での引っ越しには向いていません。場合によっては引越し業者へ依頼する方が安くなる場合もあります。

    家具・家電製品購入費用

    • 一人暮らしの場合: 冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、炊飯器、掃除機、カーテン、照明器具など、生活に必要なものが一通り必要になります。
    • 家族の場合: 上記に加えて、人数分の寝具や家具、場合によっては大型の冷蔵庫や洗濯機が必要になることもあります。

    計算方法:
    個人の必要性に応じて大きく変動します。

    注意点:

    • 中古品やリサイクルショップ、フリマアプリなどを活用して揃えると比較的安く購入できます。
    • 将来的に結婚の予定があるなど、一時的に使う家具・家電はレンタルも検討してみましょう。
    • 新品を購入する場合は配送先を新居の住居にすると引っ越し費用を安く抑えられます。

    その他費用

    • 火災保険料: 火災や水漏れなど万が一の事態に備え、任意で加入する保険料です。住宅ローンを組んで分譲マンションを購入する場合などは必須とされています。
    • 鍵交換費用: 防犯上の理由から、入居時に鍵を新しいものに交換するための費用です。
    • 保証会社利用料: 家賃が払えなかった場合に家賃の立替を行う家賃保証会社の利用料金です。多くの物件が加入を必須としています。
    • インターネット回線工事費: 新規でインターネット回線を契約する場合や、回線工事が必要な場合に発生します。
    • 粗大ゴミ処分費用: 引っ越し前に不要な家具や家電を処分する場合にかかります。自治体によって処分費用や方法が異なります。
    • 交通費: 車を所有している場合は、車庫証明の発行手数料や、引っ越し先での駐車場代が発生する場合があります。

    計算方法:

    • 火災保険料: 相場は1.5〜2万円です。新居で加入が義務付けられていない場合は、リスクと比較し加入を検討しましょう。
    • 鍵交換費用: 相場は1〜2万円です。防犯面が気にならない場合は不要ですが、場合によっては必須の物件もあります。不動産会社へ確認しましょう。
    • 保証会社利用料: 相場や約2.5万円です。連帯保証人の代わりとなるサービスなので、身近に頼れる人がいない場合は利用を検討しましょう。
    • インターネット回線工事費: 相場は1.6〜4.4万円です。アパート・マンションよりも戸建て住宅の方が高くなる傾向にあります。
    • 粗大ゴミ処分費用: 粗大ごみの回収は業者に依頼する方法と行政へ依頼する方法の二つがあります。基本料金は3千円〜5千円です。これに品目ごとの料金が加算されます。品目ごとの料金の目安は以下の通りです。
      品目料金
      パソコン1,500円
      冷蔵庫3,500円
      エアコン5,000円
      ストーブ1,000円
      タンス5000円
      ベッド3000円
      本棚3000円
      ソファー7500円
      テーブル2000円
      コタツ2000円
      自転車3000円
      寝具500円~

      ※費用相場はあくまで目安です。
      ※粗大ごみ回収ガイド『粗大ゴミ回収業者の費用を調査!結局おいくらかかるの?』より参照(2025年3月調べ時点)

    注意点:

    • 火災保険料は保険会社やプランによって値段が異なります。複数プランを比較検討し、必要な保障内容のみに絞ったものを選びましょう
    • インターネット回線工事は、繁忙期に差し掛かると予約が取りづらくなる場合があります。回線工事の依頼を決めたら、すぐに申し込むようにしましょう。
    • 粗大ゴミの処分費用は、品物がリサイクル法対象品の場合、家電量販店で引き取ってもらう方が安く処分できる場合があります。

    【地域別】引っ越しの初期費用はいくらかかる?一人暮らし・家族別の地域ごとの相場

    【地域別】引っ越し費用の相場

    引っ越しの費用は、住む人数や地域によって大きく変動します。

    【引っ越し費用 相場早見表】

    都道府県単身(荷物少)単身(荷物多)2人家族3人家族4人家族
    北海道・東北平均3.8万円平均5.4万円平均6.6万円平均8.0万円平均10.5万円
    関東平均4.7万円平均5.9万円平均8.0万円平均9.9万円平均12.0万円
    中部平均4.8万円平均6.9万円平均9.3万円平均9.7万円平均10.0万円
    近畿平均4.4万円平均6.7万円平均7.7万円平均9.8万円平均12.5万円
    中国平均5.2万円平均5.7万円平均7.7万円平均8.6万円平均10.0万円
    四国平均4.5万円平均5.1万円平均8.1万円平均9.8万円平均9.7万円
    九州・沖縄平均4.2万円平均6.5万円平均6.9万円平均8.6万円平均9.7万円

    ※SUUMO引越し見積もりの都道府県別の引越し料金相場より参照(2025年3月調べ時点)
    ※上記の費用相場は移動距離「~15km未満(同市区町村程度)」で計算したもので、あくまで目安です。実際の費用は、移動距離、時期、業者によって大きく変動します。

    地域別の費用相場:東京と大阪の違い
    東京も大阪も単身者の引っ越しが非常に多いエリアですが、東京の方が引っ越し業者の数が非常に多く、価格競争が激しくなっています。そのため大阪と比較すると引っ越し費用が安い傾向にあります。

    地域別に費用相場が異なる理由

    • 距離と移動手段: 引っ越し距離が長くなればなるほど費用は高くなりますが、引っ越しの移動手段も費用に影響します。北海道や沖縄などの本州から離れた地域の場合は、通常のトラック輸送だけでなく、フェリーなどの特殊な輸送手段が必要になり、その分の費用も上乗せされるため、高くなりがちです。
    • 地域特有の事情: 地域によって引っ越しの難易度や手間が異なるために費用に差ができます。例えば、道幅が狭い地域はトラックが入れず、人の手による運搬が必要になるため人件費が増えます。また冬場の豪雪地帯での引っ越しも、厳しい環境下での作業時間の延長や追加作業が必要となり、費用が増えてしまいます。比較的気候が安定している都市部も、高層物件の場合は荷物の搬入に時間がかかるため作業時間延長分の料金がかかりやすいです。

    【地域別】賃貸契約に関する初期費用

    【月額家賃 相場早見表】

    世帯一人暮らし家族
    北海道(札幌市)平均3.3万円平均5.7万円
    東京都(23区内)平均7.9万円平均20.4万円
    愛知県(名古屋市)平均4.9万円平均8.2万円
    大阪府(大阪市)平均4.4万円平均9.4万円
    福岡県(福岡市)平均4.3万円平均8.0円

    【初期費用 相場早見表】

    世帯一人暮らし家族
    北海道(札幌市)平均16.5万円平均28.5万円
    東京都(23区内)平均39.5万円平均102万円
    愛知県(名古屋市)平均24.5万円平均41万円
    大阪府(大阪市)平均22万円平均47万円
    福岡県(福岡市)平均21.5万円平均40万円

    ※smoothの『賃貸物件の初期費用はいくら?地域・家賃ごとに初期費用相場をご紹介!』より参照(2025年3月調べ時点)
    ※上記の費用相場のうち家族は二人暮らしを想定した価格で、あくまで目安です。実際の費用は、人数、地域によって大きく変動します。

    地域別の家賃・初期費用の相場:東京と大阪の違い
    どちらも都市部のため地価が高い傾向にあり、全国的に見ても家賃・初期費用がともに高い傾向にあります。地価に加え、物件の供給量や地域ごとのニーズも価格に影響し、日本の首都である東京都の価格が抜きんでて高くなります。

    地域別に家賃・初期費用相場が異なる理由

    • 利便性: 交通機関の充実や生活必需品の買い揃えやすさなど、総合的に見た住みやすさは、その土地に対する需要を左右する要素の一つです。そのため、利便性に富んだ地域は地価が高く、家賃・初期費用がともに高くなる傾向にあります。

    【賢く節約】初期費用を抑えるための実践的な節約術

    引っ越しの初期費用は高額になりがちですが、工夫次第で大幅に節約することが可能です。ここでは、実践的な節約術を8つのポイントに絞ってご紹介します。

    1. 敷金・礼金なし物件を選ぶ
    物件によっては、敷金や礼金が不要な物件があります。これらの物件を選ぶことで、初期費用を大幅に抑えることができます。ただし、退去時の原状回復費用が高めに設定されている場合もあるため、契約内容をしっかり確認しましょう。

    2. 仲介手数料が安い不動産会社を選ぶ
    仲介手数料は、不動産会社によって割引や無料になる場合があります。複数の不動産会社を比較検討し、仲介手数料が安い会社を選ぶことで、数万円単位で節約できる可能性があります。

    3. 引っ越し時期を調整する
    引っ越し業者の費用は、繁忙期と通常期で大きく異なります。特に3~4月、9~10月は料金が高騰するため、繁忙期を避け閑散期を狙って引っ越し時期を調整することで、費用を抑えることができます。平日の火曜日〜木曜日を選ぶのも効果的です。

    4. 複数の引っ越し業者から見積もりを取る
    必ず三社以上の引っ越し業者から相見積もりを行い、料金を比較検討することが重要です。一括見積もりサイトなどを活用すると、効率的に複数の業者から見積もりを取ることができます。

    5. 荷物を減らす

    荷物が少なければ少ないほど、引っ越し業者の費用を抑えることができます。不要なものは処分したり、リサイクルショップやフリマアプリで売却したりするなど、荷物を減らす工夫をしましょう。

    6. 自分で運べる荷物は自分で運ぶ

    小さな荷物や自力で持ち運べる荷物は、自分で運ぶことで引っ越し業者に依頼する荷物を減らし、費用を抑えることができます。なお貴重品は必ず手元で管理しておきましょう。

    7. 家具・家電は中古品やレンタルを活用する

    新品の家具・家電製品は高額になるため、使用頻度や必要性に応じて中古品やレンタルを活用することを検討しましょう。リサイクルショップやフリマアプリ、家電レンタルサービスなどを利用すれば、費用を大幅に抑えることができます。

    8. 中古家具・家電を無料で入手する

    友人や知人から不要になった家具や家電を譲り受けたり、地域の掲示板サイトなどで格安で譲ってくれる人を探したりするのも、賢い節約術です。

    これらの節約術を実践することで、引っ越し初期費用を大幅に抑えることが可能です。ぜひ、ご自身の状況に合わせて取り入れてみてください。

    まとめ

    引っ越しは新生活のスタート地点であり、高額になりがちな引っ越しの初期費用は、誰にとっても気になるポイントです。今回の記事を参考に、初期費用の全体像を把握し、計画的に見直しと取捨選択をすることで、家計に負担をかけすぎず新生活をスタートできるはずです。

    執筆者

    執筆者

    DOOR賃貸編集部  

    DOOR賃貸運営事務局

    関連記事