これから新生活を始めるにあたり、大好きな猫と一緒に暮らしたいという人がいるのではないでしょうか。
また、既に飼っている猫を新居に連れていきたいと考えている人もいるでしょう。
しかし、猫の飼える賃貸物件は少ないのが現状です。
「ペット可」の賃貸物件であっても猫は飼えない物件もあるため、きちんと条件を確認しながら探さなければなりません。
そこで今回は、猫可の賃貸物件の探し方や選び方について解説します。
賃貸物件で猫を飼うときの注意点なども解説しますので、猫可の賃貸物件を検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。
目次・一覧
猫可の賃貸物件はなぜ少ない?
「ペット可」としている物件でも、猫はOKとしている物件はあまり多くありません。
ここでは、猫可の賃貸物件が少ない理由を解説します。
そもそもペットの飼える物件数が少ない
そもそもペットの飼える賃貸物件自体が少ないのが現状です。
2021年8月26日現在、賃貸物件検索サイト「DOOR賃貸」に掲載されている東京都の物件は184,070件。その中から「ペット相談」の条件を加えると、該当する物件は31,191件にまで減少します。「ペット相談」とされている物件の割合を計算すると、約17%。
ペットの飼育を相談できる物件自体が少ないことが読み取れます。
また「ペット相談」となっている物件でも、すべてのペットを許可しているわけではありません。「小型犬は良いけれど、中型以上の犬や猫は飼育できない」という物件も多いのです。
たとえば、2021年8月26日時点でDOOR賃貸に掲載されている「東京都新宿区でペット相談可の1R・1K」は180棟。各建物の一番上に掲載されている物件を確認すると、猫可と明記されているのは24件でした。
このことからも、猫可の賃貸物件が少ないことが伺えます。
ただし、猫の飼育はOKだけれど、物件情報には明記していないという可能性も考えられます。
飼育できるペットの種類について記載のない物件は、不動産会社に詳細を確認してみてください。
ペットが飼える物件でも猫がNGとなる理由
それでは、「ペット相談」としているのに猫はNGとする物件があるのはなぜでしょうか?
大家さんからすれば、ペット可にすることで幅広い人にお部屋を検討してもらいやすくなるメリットがあるといえます。しかし、ペットの飼育を許可することにはデメリットもあります。
たとえば、ペットの飼育により退去後の原状回復費用(修繕費)が高額になる可能性があったり、ペットの臭いや鳴き声などにより近隣住民とトラブルになる可能性があったりするリスクが考えられるでしょう。
さらに、ペットの中でも猫の場合は「爪とぎ」の習性があります。「猫は爪とぎをするので内装をひどく傷つけるのではないか」と不安に感じる大家さんもいるのです。
ほかにも、放し飼いによるトラブルや臭いなども懸念材料として考えられます。
そのため、ペット可であっても猫の飼育は許可していない物件があるのです。
多頭飼いのできる物件はさらに少ない
「ペット相談」としている物件でも、飼育できるペットを1匹までに制限している物件が多くあります。
ペットの数が増えると騒音や臭いなどのトラブルが起こりやすいと考えられるからです。
2匹以上の猫と快適に暮らせる物件を見つけるためには、根気よく探す必要があるでしょう。
猫可の賃貸物件の探し方とコツ
先ほど解説したように、犬可の物件よりも猫可の物件の方が少ないのが現状です。
そのため、猫を飼える賃貸物件がなかなか見つからないとお悩みの方もいるでしょう。
ここでは、猫可の賃貸物件を探す方法とコツについて解説します。
猫と一緒に暮らせる賃貸物件を探している人は、ぜひ参考にしてみてください。
エリアを広げて探す
希望のエリア内で見つからない場合は、エリアを広げて探すことをおすすめします。
どの地域でも猫の飼える賃貸物件はあまり多くないため、エリアを広げることで猫と快適に暮らせる物件が見つかる可能性が高まるでしょう。
また、築年数が古かったり、駅からの距離が遠かったりするなどの物件は、入居率を高めるために猫可としていることがあります。
猫可の物件をなかなか見つけられない人は、エリア以外の希望条件とも折り合いをつけて幅広く探してみることをおすすめします。
家賃帯を広げて探す
猫可の物件は、周辺相場よりも割高な家賃設定になっている場合があります。
この理由は、猫が壁や床で爪を研ぐ習性があるので、退去時の原状回復費用が高額になってしまう可能性があるからです。
家賃条件を広げて探すことで、猫可物件に出会える確率が高まるでしょう。
不動産会社にペットの種類や頭数を伝えて探してもらう
これまで解説してきたように、「ペット可」となっている物件でも、飼育できるペットの種類や大きさ、頭数に制限を設けていることがあります。
そのため、ペットを飼育するための詳しい条件を知るためには、事前に不動産会社に詳しく確認する必要があります。
あらかじめ不動産会社に飼育するペットの種類や頭数などの情報を伝えて、物件を探してもらう方法もおすすめです。
不動産会社によっては、交渉次第で猫の飼育を許可してもらえそうな物件の情報を持っていたり、予定していなかったエリアから条件に合う良い物件を見つけて提案してくれたりする可能性があるからです。
大切な猫と暮らす物件を見つけるまでには、時間がかかるかもしれません。
不動産会社の来客が多くなる時期にお部屋探しをする場合は、じっくり時間をかけて相談することが難しくなる場合があります。猫可の物件は選択肢が少なくなる可能性もありますので、なおさらです。
不動産業界の繁忙期を避けて相談することで、より納得できるお部屋探しができる可能性が高まるでしょう。
不動産会社を通じて交渉してもらう
物件によっては、交渉次第で猫を飼育できるようになることがあります。
不動産会社と相談のうえ、ペットの種類や大きさ、頭数などの情報を伝えたり、普段の様子がわかる写真や動画を提供したりすると、大家さんの前向きな判断材料となることもあるかもしれません。
ただし、一般的に「ペット不可」としている集合住宅に猫の飼育を交渉するのは、他の入居者もいるため難しいでしょう。
そのため、既に猫以外のペットをOKとしている物件や以前ペットの飼育が認められていた物件、一戸建てなどの物件の方が交渉できる可能性が高いといえます。
さらに、敷金の上積みなどの提案をすることで飼育の許可をしてもらえることも。
いずれにせよ、猫を飼うための交渉は不動産会社を通じて行うことになるでしょう。
そもそも大家さんに交渉すること自体が難しい物件もありますので、まずは不動産会社に相談することをおすすめします。
猫可の賃貸物件の選び方と注意点
大好きな猫とともに快適に暮らすためには、猫の習性や特徴を理解した上でのお部屋選びが大切です。
ここでは、猫可の賃貸物件の選び方や注意点について解説します。
頭数などの条件をクリアした物件を選ぶ
大前提として、飼育するペットの条件をクリアした物件から選びましょう。
「ペット可」となっている物件でも、「小型犬または猫いずれか1匹まで」「体重〇kgまで」など制限のある物件が多くあります。
「本当は猫2匹飼うけれど、許可してもらえる物件が少ないから1匹として契約しよう」というのは言語道断。きちんと実態に合う物件から選んでください。
また、物件を決めたら、賃貸借契約書の内容を確認することも大切です。
特に退去時の原状回復費用の取り決めについては、契約前にきちんと確かめておくことをおすすめします。
わからなければ、不動産会社に確認してみてください。
傷の付きやすい床材・壁材は避ける
猫は床・壁で爪を研ぐ習性があるため、和室の砂壁のように柔らかくて凹凸のある爪とぎしやすい壁材は避けた方が無難でしょう。
床や壁紙に目立つ傷を多くつけてしまうと、退去時に請求される原状回復費用(修繕費)が高額になってしまう可能性があるからです。
床については、フローリングの上にカーペットやマットを敷くことで傷を防ぐのも一つの方法です。
防音にも一定の効果がありますので、猫の飼育をする場合は準備することをおすすめします。
部屋と玄関との間に仕切りのある部屋を選ぶ
猫は素早い動きをするので、人間が扉を開けた隙をついて外に飛び出してしまう危険性があります。
猫が急に外へ飛び出してしまうと、事故に巻き込まれたり、迷子になって家に帰れなくなってしまったりする恐れがあるため、注意が必要です。
部屋と玄関との間にドアや仕切りのある部屋を選ぶことで、猫が外に飛び出してしまう事故を防ぎやすくなります。猫の特性も考えたお部屋選びが大切です。
ガスコンロのロック機能があるか確認する
仕事などの事情から、猫だけをお部屋に残したまま出かけなければならない時もあるでしょう。
猫可の賃貸物件を探す際には、コンロのロック機能があるかどうか確認しておくことをおすすめします。
猫は好奇心旺盛なので、飼い主の留守中に部屋中を動き回ることがあります。
動き回っている中で、誤ってコンロを動かして火を付けてしまったり、火傷などのけがをしてしまったりする可能性も考えられます。さらに、火が燃え移って火事になってしまう危険性も。
このような万が一の危険を防ぐために、ガスコンロにロック機能が付いているか確認しておくとよいでしょう。
部屋から外が眺められる物件を選ぶ
猫は縄張り意識が強いので、室内飼いの場合は普段過ごしている家の中が自身の縄張りだと感じています。
そのため、縄張りに侵入してくる敵がいないか常に意識しながら生活しているのです。
猫は縄張りの外にいる敵が侵入してこないとわかると安心してストレスが軽減されます。
ですから、猫可の物件を探すときには、部屋から外の様子が眺められる物件を選ぶとよいでしょう。部屋にある窓の位置と外の見え方をチェックしてみてください。
マンションなどの高層階は避ける
猫と暮らす場合は、なるべく高層階を避けて選ぶことをおすすめします。
窓やベランダの扉を開けた隙に、外へ飛び出してしまう危険性があるからです。
低層階を選ぶ場合でも、転落防止用の柵や網を設置して危険を防ぎましょう。
ペット共生物件から選ぶ
ペット共生物件は、ペットと一緒に暮らすことを前提に建築された物件のことをいいます。
単に「ペット相談」「ペット可」となっている物件は、ペットの飼育が可能なだけで「ペットとの暮らしに特化した物件」とは限りません。
ペット共生物件の場合は、ペットと暮らしやすいように設備やサービスなどが工夫されています。
たとえば、ペットの洗い場やペット専用のくぐり戸、飛び出し防止扉、キャットウォークなどが設置されていることがあります。
また、ペットを飼育する入居者が多数であり、ペット飼育に理解のある人が多いため、ペットの足音による騒音などのトラブルを避けやすいメリットもあるでしょう。
ただし、ペット共生物件の数は少なく、周辺相場よりも家賃が高めに設定されていることがあります。
さらに、入居時にペットの審査が必要なことも。
一般的な物件よりも入居までに時間がかかる場合があるので注意しましょう。
動物病院などの周辺環境を確認する
猫と暮らす物件探しをするときには、周辺環境も確認することが大切です。
特に、猫が病気やけがをしたときに備えて、物件の近くに動物病院あるか確認しておくことをおすすめします。
また、駅までの距離や近くに商業施設があるかなど、猫だけでなく自身が暮らしやすい周辺環境であるかも確かめておきましょう。
賃貸物件で猫を飼うときに起こりやすいトラブルと対策
賃貸物件には様々な人が暮らしているため、トラブルにならないよう猫を飼うときの注意点を押さえて生活する必要があるでしょう。
ここでは、賃貸物件で猫を飼うときに起こりやすいトラブルと対策法について解説します。
賃貸物件で猫を飼いたい人は、ぜひ覚えておいてください。
壁・床への傷
先ほども話に挙げたように、猫は壁や床で爪を研ぐ習性があります。
借りている物件の壁や床を傷つけるのを防ぐために、猫の爪をこまめに切る、爪とぎをしやすい箇所の近くに爪とぎを置く、床にカーペットやマットを敷く、壁に保護シートを貼るなどの対策をするとよいでしょう。
ペットを飼育する場合、内装に傷が付きやすいことから退去時の原状回復費用(修繕費)をめぐってトラブルになってしまうことがあります。
できる限り対策をしてなるべく傷が付かないようにするだけでなく、賃貸借契約の内容をきちんと確認しておくことが大切です。
騒音・におい
他の住人とのトラブルになりやすい要因に、ペットの騒音やにおいが挙げられます。
猫の走り回る足音や鳴き声がうるさいと、近隣住民からクレームになってしまう可能性があります。
床にカーペットやマットを敷いたり、無駄鳴きしないようにしつけをしたりするなどの対策を行うとよいでしょう。
また、猫のオシッコはとてもきついにおいを発します。
排泄物をこまめに捨てたり、飼育状況に合わせた猫トイレの種類を選んだり、消臭効果の高い猫砂を使ったり、きちんと蓋の閉まるゴミ箱を使用したりするなど、においを軽減させる工夫を行いましょう。
定期的に部屋の掃除や換気をすることも大切です。
さらに、去勢や不妊手術をすることでマーキングを防止できる可能性があります。
マーキングによるにおいに悩んでいる人は、かかりつけの獣医に相談することをおすすめします。
トラブルを防ぐためにしつけをしっかりする
賃貸物件で猫を飼育するにあたり、猫へのしつけをしっかりとすることもトラブル対策となります。
トイレをしっかりと覚えさせるなど、生活する中でしつけをしていくとよいでしょう。
また、運動不足でストレスがたまることが原因で、走り回ったりいたずらをしたりすることがあります。
一人遊びできるおもちゃやキャットタワーなどを利用して、適度に運動させることが大切です。
家具・家電に転倒防止器具を付けたり、なるべく棚の上に物を置かないようにしたりするなど猫を叱らなくてもよい環境を作ることや、家族など複数人で暮らす場合はしつけのルールを共有することなども大事なことです。
猫と人間どちらも快適に暮らせるよう工夫しましょう。
物件探しのポイントを理解して、猫と暮らせるお部屋を探そう!
今回ご紹介したように、猫可の賃貸物件はあまり多くないのが現状です。
そのため、まずはエリアや築年数などの条件を緩めて探すことをおすすめします。
幅広く探すことで、猫と快適に暮らせるお部屋が見つかりやすくなるでしょう。
また、賃貸物件で猫と安心して暮らすためには、今回ご紹介したようなトラブル対策を行うことが大切です。
近隣住民への配慮を行いながら、大好きな猫と楽しく暮らしましょう。
ペット可の賃貸物件の上手な探し方と、押さえておきたい注意点をまるごと解説!【DOOR賃貸】
ペットと暮らす物件を上手に探すコツ・チェックポイントを解説します。ペット可物件特有の条件についてもご紹介しますので、賃貸でペットを飼いたい人はぜひ参考にしてみてください。
執筆者
小花 絵里 宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/FP2級など
不動産会社や住宅メーカーの不動産部に勤務。不動産賃貸・売買契約の他、社宅代行、宅地造成などの不動産業務に携わっていました。
現在は、不動産や金融関係の執筆をするフリーライターとして活動中。夫婦で不動産投資や株式投資を行っています。
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